英字紙 "China Daily" の「方針」
Nov. 12th, 2015


「虎穴に入らずんば、虎児を得ず」  第3話





「日中路上会談」


「中国のNYT」こと英字新聞 “China Daily”紙の王氏の返答は、まったく予想せぬものであった。彼は、苦笑いしながらこう答えたのである。

「1970年代、私がまだ小学生だった頃は日中戦争における中国側の犠牲者数は、800万人と教えていた。それが今、我が国の教科書には3200万人と記載されている。その数が大きく増幅されてきたことは、確かに否定はしない」


は!? と野武士は思わず息を呑んだ。何かの聞き間違えかと正直思ったぐらいだ。中国を代表する英字新聞の上級編集者の口から出た言葉とは、到底思えなかったからである。「事実関係を度外視してでも日本を叩き、中国国民に恒常なき被害者意識を植え付ける」 - 共産党が進めるこのいかがわしい反日教育の実態が、なんとソウルで、しかも自分の目の前で露になった「歴史的」瞬間であった。

大学を含めると8年間、ロンドンで学生時代を送ったという王氏。年は、30代半ばだろうか。気軽に話し合える、洗練されたジェントルマンだ。あまりに "Queens English" が完璧なので、表向きは「中国人」とはいっても、その思考回路は「英国人」と大して変わらないというのが実際に話していて実感したことだった。

「王さん、あなたが今おっしゃったことは言うまでもなく “distortion of history” =歴史の歪曲意外の何ものでもありませんよね。しかもあなたが小学校だった頃の4倍という、根拠なき、途方もない数の中国人が”日本軍に殺された”ことになっている。そんな教育を受けた中国の人々が反日になるのは当たり前ですよ」
彼はじっと耳を澄ましている。私は続ける。

「ちなみにあなたは「800万人から3200万人になった」と言われましたが、私が学んだ限りでは戦後まもなく、中国の国民党政府は中国側の犠牲者数は320万人だったと報告している - そしてそれが今の共産党政権では3500万人なっている - ざっと11倍。これが茶番でなくして一体何だというのでしょう」

ソウルの青天下、人混み、バスや乗用車のクラクション音にもめげず、王氏と私はストリート上でで忌憚なきオピニオンをぶつけあった。とはいえ、それは何も喧嘩腰といった性質のものではなく、素直に淡々と己の考えを吐露する「日中路上会談」なのであった。





「悪魔日本」


しばらくすると、彼は言った。通常の新聞社がそうであるように、チャイナデイリー紙にも決まった編集「方針」がある、と言った。深くは踏み込まなかったが、要するにそれは中国共産党の「方針」に沿って記事を書くということなのだろう、と私は解釈した。そしてそれは、王氏という名の「英国人」の個人レヴェルではどうしようもない「大きな枠組み」であろうことも理解した。民主主義社会に存在する価値観とは対極を行く、まったく異質な、一党独裁体制をとる国家ならではの絶対的管理体制の産物といえよう。
野武士はさらに突っ込んで聞いてみた。

「中国の歴史教育は、単に日本を “Demonize” = 悪魔化せんと”illogical= 筋の通らない”ストーリーを並べているだけではありませんか?」
すると彼はパチン、と手を打ち
「I agree. そう、その “Demonize”という言葉は的を得ているかもしれない」


去る2013年12月26日、安倍晋三総理大臣は靖国神社を参拝した。その直後、駐英中国大使の Liu Xiaoming 氏が「日本はハリーポッターの悪魔ヴォーデモートだ」と非難すると同時に、中国外務省による「悪魔ジャパン」キャンペーンが始まった。 

そして現在も継続中のその ”Bully Japan by History Policy”= 「歴史による日本叩き方針」が、今後も加速していくであろうことは疑いの余地がない。しかしながら、お互い1人の個人としての王氏と谷山某はその後も「日中路上会談」で本音をぶつけあい続けた。かれこれ20分ほど言葉をやりとりしただろうか。「非公式路上会談」としては極めて長く、かつ深いディベートが行われ、埋められぬ差異はあるもののお互いの理解を深めることは確実に出来た。彼からはChina Daily紙を一部頂き、そしてこちらからはDVDを二枚プレゼントし、握手と笑顔で別れたのだった。




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Outspoken Samurai and a sophisticated Chinese gentleman, shaking hands in Seoul.
Japan - China Mutual understanding NOW. We should become friends, despite the gaps and differences. I was intrigued to meet this intelligent man! Thank you very much!









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「海外では揉めごとを起こせ」谷山雄二朗
Japan NO BALLS 海外では揉めごとを起こせ 谷山雄二朗.png



「歴史問題は、中国人民の感情にかかわる」


じつはこの同じ日、ソウルにて行われた”本物の”日中首脳会談において、中国の李首相は安倍総理に対し次のように捲し立てたことが分かっている。

「歴史問題は、13億人の中国人民の感情にかかわる。日本が責任ある態度で問題を処理することを望む」

この聞き慣れた言葉の言い回しが日本を牽制し、その弱体化を意図した中国政府の「常套手段」であることは明らかだ。Japanを”Demonize”- 悪魔化することにより、中共が「正義」かつ「ヒーロー」という構図を国内のみならず国際社会にも深く流布せんとするプロパガンダ戦略であることも、言うまでもない。しかし我々日本人が決して見落としてはならないのは、彼ら中国政府の指導部が己の恥ずべき侵略および失策 - 例えば5000万人もの餓死者を出したと言われる毛沢東の大躍進政策失敗という犯罪的行為(1958 -1961)や、チベット侵略(1948 - 1951) を完全に棚上げしている点である。そうした己の「悪魔」的要素は巧みに避け、日本のみを非道なる犯罪国家として国内外にアピールすることによってのみ、中国共産党は己を正当化せんと試みているわけで、その厚顔無恥を強調しすぎることはあるまい。靖国にしても、そのために「政治利用」されていることに、我々日本人はいい加減気付く必要がある。「靖国には戦犯が眠っているから行くべきでない」という、中国共産党ないしは東京裁判を主導した米国ら戦勝国の思考回路に、未だなお自縄自縛状態の「日本人」がいかに私の周りにも多いことか。





ソウルのTVで、日中韓首脳会談・生中継を見る


この日 11月1日の夕方に、日中韓首脳会談の公式会見を各国首脳が行うことを知った私は直ちに一旦、滞在先のホテルに戻りテレビを付けた。ホスト国 韓国の朴大統領に続いた安倍総理の会見演説は、原稿をたびたび読み上げるようなコンパクトかつ未来志向のものであった。時間にして五分程度だったろうか。

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ところが、である。結果論として日中間首脳会談の公式会見は、その後にマイクを握った中国の李首相の独壇場となった。同氏は、途中から原稿などに視線を移すことを止め、目の前の報道陣に対し畏怖堂々と中国語で「しゃべりまくった」のであった。あいにく野武士は中国語は、「Wo Ai nee」(愛しています)しか知らないため同氏が放つ言葉の意味はまったく把握できなかったのだが、いずれにせよ李氏の「高慢」にも見える態度は、21世紀が否応無くして「中国の世紀」になるであろうことを、惜しくもそれなりに感じさせるものであった。現に、記者で埋め尽くされた会見会場の雰囲気(画面上では)は、同氏に完全に呑まれた感さえ漂っており、しかも李氏の「独演会」は安倍総理の三倍、即ち十五分ほど続いたであろうか。まだか、まだかと思いきや、同氏はマイクを放さなかった。棒立ち状態の安倍総理と、朴大統領は明らかに不満気に映った。少なくともそう見えたのは事実だ。よってソウル現地で、残念ながら私は中国のプレゼンスを否応無く見せつけられたのである。


とはいえ、中国首相の計算高き狡賢さを我々は、決して見落としてはなるまい。
「歴史問題は、13億人の中国人民の感情にかかわる。日本が責任ある態度で問題を処理することを望む」- と、記者会見前に行われた日中首脳会談で、李氏が言ったことを忘れてはならない。しかもそれは、その発言があった2015年11月1日その日の午前、即ち「日中路上会談」で私が “China Daily”の王氏が事実上認めた「中国側の事実上の歴史の捏造」という大前提に立つと、滑稽以外の何ものでもないのだ。つまり李氏は「歴史問題は、13億人の中国人民の感情にかかわる」と主張しているものの、それはソウルの明洞で遭遇した「王氏の感情」にはまったくと言っていいほど「かかわっていない」からに他ならない。



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A handsome Korean gentleman in Myongdong. I simply told him "Japan and Korea can make better friends, if it weren't for this history controversy" - [P.S This photo does not mean that he endorses the film. It was just an early christmas gift for him ]





つまり、これはどういう事かと言えば「中国人」は、決して一括りで考えるべきではないという事ではないだろうか。我が国の人口のじつに10倍、即ち13億人いる大陸国家で、それを「中国人」と一括りで解釈しようとすると、見誤る。私は今、そう考えるに至っている。しかも中国の領土面積は、日本の約25倍。「言論の自由」など存在しない。よって英語を母国語の如く操る「イギリス人」の王氏をはじめとする 英字紙“China Daily”編集陣にさえも “Freedom of Speech”は保障されておらず、結局は中国共産党の意向に従わざるを得ない。その「中国という名の特殊国家の現実」を今回、野武士はソウルの地で学んだのであった。


明洞から南大門へと進みながら、「日韓路上会談」は続いた。オフィシャル・ツアーガイドの女性、地元の英文科専攻の大学生。1人1人に、「ちょっと早めのクリスマスプレゼント」を "野武士サンタ" は手渡し続けた。

中国の「正しい歴史認識」が、日中戦争被害者3200万人であるならば、韓国のそれは「慰安婦とは日本軍に強制連行され性奴隷にされた後、殺された200,000の朝鮮人女性である」というものだ。私が調べた限りでは、それは事実関係とは大きく異なる。それは、このスコッツボローガールズのLinkIconTrailer[予告編] をご覧に頂くだけでも一目瞭然である。しかし、こうした事実は韓国の教科書には一切記されていない。国家をあげて「日本の名誉を貶める」のが、同国政府の国家戦略だからに他ならない。



野武士サンタは、再びJonggak駅方面へと北上し、東大門に向けトコトコ歩き始めたのである。腹が減ったことにも気付かずに。




(「虎児に入らずんば、虎児を得ず」第3話 おわり - 次号に続く)  


 谷山雄二朗 - Editor in chief for JB 編集長









谷山雄二朗講演 2015 百田尚樹氏ゲスト出演決定.png



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