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Visiting the “June 4th Tiananmen Massacre Museum”
June. 6, 2016


香港の言論の自由が今、危ない


マスクをしている少女がいた。二十代半ばだろうが、あどけなさが宿るその表情はまるで少女のようだ。気温33度の6月の香港で、何故それが必要なのか理解に苦しんだので「風邪ですか」と聞いてみると、そうだという。しかし話しているうちに実は真相はまったく違うことが分かった。ここは、世界で唯一の「6.4天安門虐殺記念館」の 薄暗い館内。クーラーが効いている。彼女の名前を、とりあえずここでは陳さんとしておこう。彼女の告白を要約すると、次のようになる。


「一年半前、2014年に香港の民主化を求める “Umbrella Movement” があったでしょう。あの時、多くの大学生がデモに参加したわ。ところがなんとデモの最中にじつは意外な場所で、ありえないことが起こってたのよ - そう、中国本土で働いている彼ら学生の “親” の携帯に次々と中国政府関係者から電話がかかってくるようになった。つまり “アンタの息子・娘が香港で反政府デモに参加している。このままでは大変なことになるぞ。なんとかしろ” - という脅迫コールが、次々とかかってくる。ではなぜ、どうやって”身元が割れた” のか、不思議よね。何故だと思う? そう、香港市内のいたるところにじつは監視カメラが設置されていて、中共政府の圧力を受けた当局(香港政府)は民主化デモに参加している大学生たちの顔を一つ一つスキャンし、その個人を特定し、名前・住所・電話番号などの個人データーを割り出していったわけ。その流れで親に脅迫電話をする。うん、私がなぜ今日マスクをしているか分かったでしょう?」


言論の自由を弾圧する中共の独裁統治体制は、最悪だ。それは渋谷や九州にいては到底わかるものではない。しかし彼女に会ったこの日、つまり天安門虐殺事件の27周年にあたる2016年6月4日 - ぼくは中共の秘密警察による「自由の弾圧」というものを、肌で感じた。それもここ香港・九龍半島のオフィスビルが並ぶ繁華街で。
冒頭に挙げた陳氏の告白。事実だとすれば、怖ろしいことではないか。
“China’s violations of its citizens’ rights are solely an internal affair” - 「中国における人権弾圧は、単に国内問題にすぎない。外国からの内政干渉は受けない」 - と、1989年以来シラを切ってきた中共のその歪んだ精神構造が今、が世界的金融ハブ・香港の喉元に、そう、まるでがん細胞のごとく侵蝕しつつある。1997年、香港は「屈辱の100年リース」から中国に返還された。その際、したたかな英国政府は “今後50年間は一国二制度:HKのデモクラシーは保証させる” との条件をつけた。当時の中共江沢民は、それを受諾。つまり少なくとも2047年までは、”Hong Kong Democracy” は保証される「はず」なわけだ。しかしながら2016年現在、すでにその約束は反故にされつつあることは、陳氏の言葉に耳を傾ければ一目瞭然だ。彼女の瞳には曇り一つなかった。ぼくはその言葉を、信じる者である。



"ビルのオーナー” による「圧力」と強制退去

それを裏付けるかのように、九龍の繁華街 JORDAN駅 D出口徒歩8分に位置するこの世界で一つしかない「天安門虐殺記念館」が入っているオフィスビルの1F・エレベーター前には今、「警備員」 が一名常駐している。去年半ばからだという。ちなみに「警備員」というのも名ばかりのもので、実際はビルのオーナー側が雇った「監視員」だと考えていいだろう。少なくとも同館を運営する Hong Kong Alliance in Support of Patriotic Democratic Movements in China のアルバート・ホー氏は、「中国政府、および中共寄りの無限の資源”を持つ勢力が裏で動いている」と述べている。現に天安門虐殺記念館はその「勢力」により、ビルから強制退去するよう訴訟を起こされており、法廷で争うとなると莫大な費用がかかるため現実的には戦えない。いつ移転してもおかしくない状態なのだ。よってこのブログを読んで明日、博多 - 香港直行便に飛び乗ったとしても、もしかしたら閉館しているかもしれない。現段階では「再オープン」できるとの確かな保証もない。


北京の虐殺から27周年のこの日、うるさい日本人が記念館の入っているビルに一歩踏み入れた瞬間、「中共の息のかかった”警備員”が前に立ちはだかった。60代風の禿げたオヤジだが、人民元と秘密警察の臭いをプンプンさせている。
「エレベーターに乗る前に名前、ID番号、パスポート番号、入館の目的を書いてください」という。そう、これら数項目を記入することを強制されるのだ。ここ「自由とデモクラシーの街」 、香港で、だ。気持ち悪い。監視され、ある意味自由を束縛されるというのはこういう感覚なのか、と息を飲んだ。来館者の個人情報は、当然ながらビルのオーナー側を経由して、中国政府に送られると考えるのが自然だろう。二年間にオープンして以来、半分ほどが中国本土からの来館者だった(本土では天安門虐殺を口にすることは、タブー化している)そうだが、この秘密警察が常駐するようになってからは、その数は全体の四分の一にまで減ったという。そう、みな中共に目をつけられることを恐れているのだ。


入館者が監視カメラで撮影されていることも、間違いない。その映像は当局により”分析” され、中共の恐怖政治を強化するための道具として利用される。陳氏によると、香港において民主化デモに参加し「顔をスキャンされ身元を特定された人物」に対しては、大抵の場合中国本土への入国禁止措置が課されるという。現に本土から香港特別行政区へ “留学” している生徒も多いらしく、彼らが ”ブラックリスト” に載った暁には故郷へ帰省できないことになる。また香港出身者と呼ばれる人々にしても、その大半のルーツは当然ながら本土にあるわけで、祖先を敬う中国文化:お盆やお墓参りも当然ながら不可能になる。中共当局はそうした香港市民の自由を巧みに奪いながら、締め付けを強化しつつあるわけだ。

ちなみに ”うるさい日本人” に至っては、今回の「天安門虐殺27周年・犠牲者追悼訪問」を隠すどころか、FBとTwitterで「行ってきました〜!」 と英日二ヶ国語でオープンに明るく宣言済み。よって中共秘密警察のリストに載せて頂けるかもしれません。北京や上海に飛んだら空港で「国家反逆罪」で身柄拘束されるかしら。”麻薬密売人”とかデタラメなレッテルを貼られてね。これは冗談でも何でもなく、中国の言論弾圧およびインターネット検閲は世界最悪として名を馳せていることを忘れてはなるまい。YouTubeもWikipediaも同国では閲覧できない異常さだ。北京で「北京虐殺」ないしは「天安門」と打っても、中国版GoogleすなわちBaiduには信じがたいことに何もヒットしないのだから(笑)。人権派弁護士の浦志強氏にしても、天安門およびチベットの真実に言及しただけで当局に投獄されている。

やっぱり最高な国だね。領土だけはでかいくせに、やる事は相変わらずちっチャイナ。



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北京虐殺6.4 を学校で教えない中国の茶番


南シナ海で今、中国共産党(中共・CCP)が行っているサンゴ礁埋め立ておよび軍事基地建設は、滅茶苦茶だ。軍事力に物を言わせ、小国ヴェトナム、フィリピンを完全無視し、やりたい放題。国際法など、無きも同然。ルールはただ一つ、「中共が決めたことが正しい。それが真実」。以上だ。事実関係の有無など、一切関係ない。

これは、1989年6月4日に世界に衝撃を与えた天安門虐殺事件を、中共が教科書に掲載させない言論統制措置一つみても明らかだ。館内で会ったある中国人男性は「小学校でも、中学校でも教えないので知らなかった。でも、高校生の時にインターネットの ”裏サイト” を通じて事件のことを知った。衝撃だった」と教えてくれた。つまり、人口14億人、GDP57兆元の世界第2位の経済大国では、天安門事件は「なかった」ことになっているわけだ。ぼくも記念館に来て学んだのだが、展示内容やドキュメンタリー映像などの証言によると「中共軍兵士は、家のベランダから天安門の弾圧の模様をみていた一般市民も次々と射殺」したらしい。「台所にいた主婦も、流れ弾に当たって殺された」と。ある証言者の中年男性は「果たして目の前で起きている中国人に対する虐殺が、同じ中国人によって行われているのか:信じ難かった」と述べていた。

館内展示の “It is worth notice that the China Red Cross had made a public announcement that there were 2,600 to 3,000 died in the event”(Hong Kong Alliance in Support of Patriotic Democratic Movements in China)
「中国赤十字の発表では、犠牲者数は二千六百名から三千名」という虐殺の事実も、中共の手にかかれば「存在しない嘘」になるわけだ! 滑稽というか、単なる下品なジョークにしか思えないが、こんなゲスな国がBBCによると十年後には世界一の経済大国になるというのだから、これまた問題だ。しかも、中国のWang Yi 外相にいたっては海外メディア向けに「日本は歴史を直視し、反省せよ」とオウムの如く反復するのに余念がないわけで、もう茶番もここまできたら精神病。北京虐殺という自国の歴史ただ一つさえ直視できない中共が、日本に対して文句を言うなど厚顔無恥の極致ではないか。


にもかかわらず、我が国のプードル政府は相変わらず反論一つせず、へらへらするのみ。なぜ日本政府は「中国は歴史を直視し、天安門虐殺を認め、自国民を奴隷状態から解放せよ」と欧米メディア前で言えないのか。少なくともアメリカ政府は、中国に対し1989年虐殺を認めるよう働きかけている。人権保護を重視する国ならではの対応であり、根底的に日本に欠けている部分だ。真実を見て見ぬ振りし、事なかれ主義に甘んじているから永田町は舐められるのだ。先日のLinkIcon米オバマ大統領の広島訪問の ”見返りに” 囁かれている「安倍総理の真珠湾訪問議論」に対しても、毅然と打ち消す姿勢が政府内からまったく聞こえてこないというのはいったいどういうことなのか。
「日本は戦時中に20万人を拉致レイプした性犯罪国家だ。南京では30万だ」と、これまた根拠なき真っ赤な嘘を国際社会に流布する一方で、「天安門はなかった」と開き直っているペテン師に対し、異議一つ唱えられない政府になど、税金を払う必要はないと考えるのは果たしてうるさい日本人だけだろうか。安倍政権は消費税10%増税を、2019年2月に延期したが「歴史問題における主張・反論」だけは、いい加減これ以上延期しないで欲しいものだ。世界は今、言葉、現在進行形の歴史すなわち情報で動いているのだから。

Thank you.



谷山雄二朗 - JB’s Editor in chief



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