
Japan Broadcasting . net Corporation 主筆・国際局局長 谷山雄二朗
一昔前、多くの鎖国思考の日本人は韓国人のことを嘲笑した。「彼らは’僕’をポクとしか発音できない」、と。ぺ・ヨンジュン然り。
では今の日本旅券所持者らはどうか。
恐ろしくドジである。
というのも、大谷ロッキー由伸(大谷、佐々木、山本の合体名)の 大リーグ球団 Los Angeles Dodgers のことを相変わらずバカの一つ覚えで「ドジ」ャーズと間違った音で呼んでいるからだ。
これは、野球の捕手を「キャチャー」と言うのと同じ。明かに教育上の誤り。
にもかかわらず、相変わらず間抜けのNHKも読売もサンケイもその他 digital media らもこぞって「ドジ」ャーズと書き立てる。恥じらいもクソもない。
投手を「ピチャー」といいますか。正しくはピッチャーでしょう。
にもかかわらず、この一億総ドジ。付和雷同する日本人による弊害そのもの。三流の「自称知識人」らを盲従し、真似し、恥を晒す大人をさらに真似する小中学生は、結局は英語難民になってしまう。ただでさえ国際社会でわが国の存在感は萎んでいるというのに、このドジすぎる外国語能力の無さは致命的。
たかが一単語の発音と言うなかれ。だってドジすぎる「ドジャーズ」なる意味不明音では、海外に行っても通じませんから。相手はわからない。Hot water を「鳩綿」で覚えた明治時代ならまだしも(これはこれで面白い)、今は昭和も平成も通り過ぎた二十一世紀ですがな。
1960年代から80年代半ばまで活躍した、豪腕サンケイ新聞記者・近藤紘一。彼の二人目の奥さんは越南人で、彼自身、1975年のSaigon陥落時に現地にいた。そんな紘一も日本人の国民的「ドジ」っぷりを呆れ半ば次のように嘆いている。少々長いが、わが国民の知的劣化をいい加減食い止めるためにも全文ご紹介したい。
「ベトナムはじめインドシナ各地の地場の調味料にサカナの発酵汁をベースにした『ヌク・マム」というのがある。タイでは「ナム・プラー」と呼ぶ、いずれも現地語で「サカナの水」という意味だ。これがどういうわけが日本では「ニョク・マム」という発音で紹介されている。これなんかも現地では百万ぺん口にしても相手はわからない。ベトナムの属性みたいなこの調味料の名前が誤って伝えられたのも、どうやらそのつづりかららしい。ベトナム語では「NCOU MAM」と書く。これを耳で取材せず、目だけで取材(したふり)をすれば、「ヌオク」あるいは「ニョク」とならざるを得ない。一九六〇年代中葉にベトナム報道の先鞭をつけ、そのごもベトナム問題の神さまみたいな顔をしつづけている一部の新聞記者連が、早とちりでこの発音を誤って覚え、日本に流布させてしまったらしい。私自身、何人ものベトナム人に聞いてみたが「ヌク・マム」を「ニョク・マム」と発音する地方は、少なくとも私が聞いた限り、ベトナム中どこにもなかった。」
– 「目撃者」(文藝春秋)より
ドジかつ無知蒙昧な諸君に、最後に告ぐ。
日本語でも英語でもない言語明瞭意味不明なことばの濫用は、もういい加減やめましょう。Catcher がキャッチャーで、pitcher がピッチャーなら Dodger は当然ながらドッジャー。大リーグの Major League にしたって正しくはメィジャー。「メジャー」じゃありません。それは本来は measure (測定)の音。
いい加減、その貧困な思考回路を進化させないと、そのうちアナタも本当に三流の Dodger (ペテン師)に堕ちちまうっての。
だからMLB中継は、決してドジな日本語解説じゃなく英語にすべし。洗脳されてからでは、すでに遅し。
